カルロスゴーン逮捕報道 日産との対立の理由は?

スポンサーリンク

スポンサーリンク

投資資金や経費の流用が取り沙汰されていますが、
別の視点からこの問題を考えてみようと思います。

むしろ、こちらの方が本質的な事情なのかもしれません。

Sponsored Link

日産の社長による記者会見の内容は、主にゴーン会長による会社のカネに関する不正への批判でした。

さらに話は経営手法、手腕への批判にも話が及んでいました。
ここには少し違和感を覚えました。
グループの業績は好調だと思っていたからです。

問題になっているのはカネに関する不正であって、
経営への批判にまで話が及ぶと、話の要点が分かりづらくなります。
ゴーンが大嫌いなことは伝わってきました。

ここぞとばかりに皆叩いてきます。
翌日のNHKニュースでは冒頭で、20年前のコストカットで失業したおっちゃんに恨み言などを言わせていました。
今さら謝ってほしいのだそうです。

まあ、嫌う人も多いことは想像がつきます。
しかしそれは今に始まったことではないはずです。

会社のカネの私物化は長年にわたって行われていたことで、
なぜ今になってこの問題が噴出してきたのかという疑問があります。

これまでのルノーとフランス政府の関係

ゴーン会長はルノーのトップも兼任しています。
そして、ルノーの筆頭株主はフランス政府です。

フランスにはフロランジュ法という法律があります。
2年以上保有している株主に対し、1株当たり2票の議決権を与えることを認める法律です。

そのいきさつは、大手鉄鋼会社が仏東北部にあるフロランジュ製鉄所を閉鎖したことが発端です。
失業問題が起こり、政府は批判にさらされました。
そこで、この法律が作られました。

影響力を高めて、たとえ会社の経営が傾こうが、人員整理は認めないという意図があるのだと思われます。

仏政府はルノーの株を20%まで買い増しました。
ルノー側はフロランジュ法の適用に反対しましたが、否決されました。

これによって、仏政府のルノーにおける影響力は拡大しました。
のちにルノーは株を放出するよう要求しますが、それも拒否されます。

このような対立関係がありました。

日産に対するフランス政府の思惑

そして仏政府は、日産の株の半数近くを保有する筆頭株主ルノーを介して、
日産の経営にも影響力を行使しようと画策します。

ルノーと日産の経営統合の提案などを行っていました。
日産を雇用の受け皿にすることが目的なのでしょう。

日産の企業規模は、現在ではルノーを大きく上回っています。
後述しますが、ルノーの業績自体が日産に大きく依存する構造にもなっているのです。

それでいながら過去のいきさつもあって、ルノー側が主導権を握っているという状況です。

この件に関して、2015年12月にゴーン会長が会見を開きました。

仏政府が日産の経営には介入しないと、書面での確約を取り付けたのです。

事前の了解なしに日産がルノーの株式を追加取得できない、という取り決めも見直されることとなりました。
日本の法律で、25%の株式を保有している企業には、自社の議決権を行使できないことになっているのです。
ルノー株の保有率が高まれば、自社の経営への介入を防ぐことができます。

この件では、ゴーン会長は日産の立場に立っているといえるでしょう。

ルノーの筆頭株主である、フランス政府の意に反する結果を導いたことになります。
このあとゴーン会長の更迭の話も出てきています。
結果的には留任することになりましたが。

日産の立場に立ったといっても、ルノーも仏政府とは対立していたこともあり、
両社の連合の利益を重視したのかもしれません。

スポンサーリンク

日産のゴーン会長への不満

ゴーン会長によってフランス政府の経営への介入は回避したものの、
ルノーを支えるために日産を利用してきたとの話もあります。

日産で開発した車台を無償で使ったり、
部品の調達力、価格交渉力がないのに、日産との一括購入という形で安く仕入れたり、
海外進出に際して日産にも出資をさせたり。

現在のルノーの利益の内訳は、日産株の配当金がほとんどなのだそうです。

かつての日産の経営危機の際、ルノーから8000億円の出資を受けましたが、
その借りは十分返しているでしょう。

これらのことがあり、日産はゴーン会長やルノーとの関わりを断ちたいと思っていたのかもしれません。

なぜそれが今のタイミングで噴出したのかについて書きます。

司法取引制度

ゴーン会長を盲信していたからこのような状況に陥ったとも現在言われていますが、
カネの不正流用に関しては二の次くらいに思っているのかもしれません。

これまでのことから考えて、問題は外部からの経営介入であり、
そのために日産はゴーン会長の追い落としを虎視眈々と狙っていたと思われます。。

そのためのネタには事欠かない状況だったのですが、そのことに日産側も関わっていたので、
今まで表沙汰にはされなかったのでしょう。

契機は今年の6月から施行されたという、司法取引制度だと思います。

その取引の内容も明らかになりました。

日産側が会社のカネで、ゴーン会長へ住宅の提供をしていました。
それを不問にしてもらうということです。

確かにゴーン会長本人と、いっしょに捕まった何とかという役員だけで、
言われているような不正ができるとは思えません。

日産側も幾分ダメージを負うかもしれませんが、
ここで一気にゴーン会長を追い出してしまおうと考えたのでしょう。

数か月の内偵と言っていましたが、時期がぴったり重なります。
そして第一報当日の記者会見で、今後については三菱のトップと話をすでにしていると、日産社長が言っていました。

周到に準備をしていたことがうかがえます。

日産の今後について

ゴーン、ルノー、フランス政府との関わりを断てれば、日産の状況は好転するとの経営陣の思いから、今回の件に至ったのでしょう。

ただしそれは現在の日産の好況が、ゴーン会長の経営手腕に依存するものでなければの話です。

ゴーンの実力だけではなく現場の力が大きかったとも日産サイドは言っていますが、
検査の不正などの話を聞くと、心もとない気がします。

ゴーン会長には近年にも目立った実績があります。

三菱の燃費偽装の公表を受けて1か月もしないうちに巨額出資を決断した時には、
同業他社から「とてもまねできない」と言われたそうです。

現在の3社連合グループは、トヨタを凌いで世界第二位の規模となっています。
経営の手腕は、現在も健在といわざるを得ないでしょう。

そもそも20年前に日産を傾けた、当時の経営陣が元凶だったという話です。

同業他社との協議もうまくいかず、最後に残ったルノーにようやく拾ってもらったという感じでした。

日産を傾けた経営陣は、その名前すら私は知りません。
一方で昔から名前を出され、批判を受けたのはゴーン会長ばかりでした。

非情さばかり取り沙汰され、現在も蒸し返されようとしています。

従業員や取引先には気の毒なこともあったのでしょう。
しかしそれはバブルの意識が抜けきらない、放漫経営を正したに過ぎないのではなかったのでしょうか。

無資格検査やデータ改ざん不正の際、
コスト削減が原因、ゴーンは陳謝すらしなかったとの批判がありました。

その時、ゴーン会長は「日産のボスは西川社長だ」と言っていました。
これも逃げだの言い訳だのと批判されましたが、
会長就任以来、日本には1カ月のうち1週間ほどしか滞在していなかったそうです。

西川社長はゴーン会長のことを現場を知らないと批判しているようですが、
不正の責任はどこにあったと考えているのでしょう。

ともあれ、今後はルノーとの関係も希薄になっていくと思います。
三菱との協力体制の元に、経営の変革が進んでいくでしょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする