ときど努力本『努力2.0』感想 面白いよ!格ゲーファンにおすすめ!

土曜日は仕事が早めに終わるので、本を買った後、行きつけのファミレスへ入りました。

ドリンクバーが飲み放題なので、気の済むまで長居が出来ます。食事も含めて3時間位居ましたが、その間に完読しました。

「東大に受かる努力ではもう勝てない」

と帯にあります。

地獄のような、血のションベンが出るような努力をイメージしていました。

まえがきだけは買う前に読んでいたのですが、実際はそうではありませんでした。

従来の根性だけに頼った努力を「1.0」とするならば、合理性、実効性を重視した方法論の努力が「2.0」ということになります。

1.0の延長にある地獄の特訓が2.0というわけではないのです。これは面白いと思いました。

そもそも私は努力するつもりで本を買ったのではなく、ときどという人物に興味があり、彼がどういう努力をしているのか知りたいと思ったからでした。

私は飽きっぽいので、本書の努力の方法論を生活に取り入れるかどうかは未定です。しかしときどをより知ることが出来たという点で、買ってよかったと思いました。

本書はビジネス書という分類になっているそうです。ときどの努力の目的は1対1の勝負に勝つということになるので、そういうことに縁のない一般人が取り入れるには応用を要するかもしれません。私はそういうことが目的ではなく、読んで楽しめればそれでよかったわけですが。

それでは内容を振り返っていきます。

感想を書くつもりだったのですが、読み返してみると自分のことばかり書いて支離滅裂な文章になってしまいました。お見苦しいところはご容赦下さい。

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勝負について 将棋と格ゲーの共通点

私は将棋を長年趣味にしているので、つい将棋との比較という視点で読んでしまいました。

本書は努力論でありますが、著者がときどであるので、すなわち勝負論ということにもなります。

勝負を職業にしているという点では、プロゲーマーはプロ棋士と似ています。彼らの著書もいくばくか読んできましたが、やはりというか多くの共通点があったことが興味深かったです。

「平凡は妙手にまさる」というのは、大山名人の著書のタイトル(発言だったかも?)でした。

手堅くいくだけではダメで、リスクを取らないと勝ちきれない。

新手はたいてい失敗するが、それでも挑戦する。

これらは羽生名人の本でも同じことが書かれていました。

「ITとネットの進化によって将棋の世界に起きた最大の変化は、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走りぬけた先では大渋滞が起きています。」

これは羽生名人の「高速道路理論」発言ですが、格ゲー界でも同じことが起こっていると分かりました。

体力の重要性も共通しています。

将棋の年間対局数の最多記録は、羽生名人の89局です。1年が50週ですから週にほぼ2局、移動の時間も必要なので働き詰めになります。

移動のきつさは、海外遠征が頻繁な格ゲー界の方が上でしょう。大会も将棋と違って完全オープンなので、予選からいちいちザコを負かしていかなければなりません。取りこぼしのリスクも無いとは言えないので、これも結構な負担でしょう。

羽生名人が七冠を獲れたのも、体力がある20代だったことも要因のひとつだったという本人の発言があります。今はどうか知りませんが、当時は水泳を日課にしていました。

のちのライバルの丸山忠久名人は、筋トレで筋骨隆々だったという話もあります。

将来の名人・菅井竜也さんは、対局日以外はほとんど毎日ランニングをしているそうです。

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地力と駆け引きのバランスについて、ときどは地力を重視しているとのことでした。

これは将棋でいえば、「誰が相手であろうと自分は最善手を指すべき」という思想でしょう。
高邁な理想ではあります。相手によって手を変えるのは志が低いとも言われた時代もありました。

しかし勝てる棋士を振り返ってみると、彼らは駆け引き上手の勝負師タイプでした。

相手を見ずに盤面だけを見る学究肌、求道者タイプは、なかなか勝てていなかったと感じます。

米長邦雄は「大山名人には玉頭位取り、森安秀光には急戦がうまくいく」というようなことを著書で書いていました。そして、真理を追求しているとはいえないがやむを得ない、みたいなことも。

大山名人はそれ以上に相手を見て指すタイプで、ズバリ「局面を見ているのではなく、人間を見ているのだ」みたいな発言もあったと思います。

「相手の弱いところ(急所)を突くのが将棋」とも。また盤外戦術でも有名でした。

羽生名人も心理戦を得意とするタイプのようです。相手を迷わせて反応を見るというのは、格ゲーでは「地力」なのか「駆け引き」なのか。

将棋ならともかく、格ゲーの方はほとんど知らないので両者の違いがよく分かりません。

格ゲーの「駆け引き」は人読み、そして「地力」は「操作技術」だと思っていました。

例えばコンボ入力なのですが、それは練習すればプロならば習得可能でしょう。将棋に例えれば「長手数の詰め将棋を解く能力」というのが当てはまると思います。詰め将棋の大会ならアマチュアが優勝することもあるので、勝負に勝つ力とはまた別のものです。そのため格ゲーの技術とは、人読みがほとんど全てと思っていました。

ただ不特定多数の相手と短時間の勝負を戦って、いつも勝ち抜けるというのは「地力」の存在はあるのだと感じさせられます。それが何なのかは分かりませんが、少なくとも操作技術だけではないのだろうと今では思っています。

自分の動きによって相手の動き、あるいは意識を限定、あるいは操作することができる?

最近知ったことですが、そういう技術は地力と言えそうです。格ゲーの「地力」について、もう少し知りたいです。

ウメハラの本もかなり読んだのですが、一般向けに書かれているので格ゲーの技術についてはほとんど語られることはありません。今回のときど本も同様です。

やむを得ないのかもしれませんが、私はビジネスのハウツーを求めているわけではありません。格闘ゲームに興味をもって読んでいる者にはもの足りないです。

著者もゲーマーとして、自分のプレイをわかって欲しいという思いはあるはずです。

将棋にも自戦記というものがあります。自身のベストバウトが掲載されていましたが、思い切りマニアックに詳細を語られる機会があることを望みます。

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上達について

本書の努力論は勝負論でもあり、そして上達論でもあります。

努力への興味はあせましたが、上達への興味は残っています(笑)

負けの中に答えがあるというのは、私が将棋を始めた20年以上前から知っていました。負け将棋を検討するのはずっとやりたかったのですが、今でもやっていません。

対戦後に相手といっしょに内容の検討することを「感想戦」というのですが、あまり面白くはありません。同程度の棋力の相手との対局であれば、自分だけで反省すれば十分と思っています。

格上の相手の場合は悪い点を教えてもらいたいと思っているのですが、相手の興味は次の対局に移ってしまっていて、感想戦に応じてもらえる雰囲気ではありませんでした。

そしてネット将棋では格上と組まれることはありません。

ネット将棋では初手からの再生が簡単なので、負けた場合はざっと振り返っておきたいとは思っています。しかし終了しないでにいると、勝って気をよくしている相手がチャットで得意げに話しかけてくることがあります。これが煩わしいので、対局が終わったら勝っても負けてもすぐに終了するようにしています。

後で棋譜検索をかけて見直すということもできるのですが、面倒なのでやっていません。これは努力に励んでいた頃からのことで、私の努力というのもその程度のものだったのです。

チャット機能を無くして欲しいです。その上で無料の対局サイトはないものでしょうか。

数をこなすということが大切と言われていますが、実戦だけをダラダラ続けるだけでは決して上達はしません。

私が証拠です!

どこかで聞いたと思って検索してみたら…

…いやウソじゃないって。将棋倶楽部24での私の戦績は、現在9041勝 8299敗となっています。棋力は始めてしばらくして頭打ちになって以来、まったく変わっていません。

ストリートファイター5のLPも、1000点台で止まっています。

ただ不思議なのは、このゲームの場合頭打ちになってからも、そこそこの努力はしているはずなのです。そして手応えもあるのです。強豪が別アカウントで初心者狩りをしているのではないかと疑うほど、こわいくらいに点数が上がっていきません。

そう思っているのは私だけで、単にヘタクソなだけなんでしょうけど…

恥ずかしながら私の実力動画を載せておきます。ジュリが私です。

「少し背伸びをした環境を選ぶ」

これもずっとやりたかったことです。将棋の上達法にも、「少し上の棋力の相手と何度も指す」というものがあります。

しかしオンライン対戦では、将棋もスト5も同程度の相手としか組まれないようになっています。

これが面白くないのです。同じような相手との対戦が続くと、刺激がないので飽きるのです。

たまには勝ち負けを度外視して、勉強のために強い相手とぶつかってみたいです。

また同じことを考えた格下に私が挑戦されたとしても、たまには弱い者を叩きのめしても楽しいと思うので挑戦には応じます。つまり私が格上に挑戦したとしても、必ずしも迷惑だとは限らないということです。

それはともかく、格上と対戦する環境は欲しいです。

共同研究について

ストリートファイターは日本人の層が厚いですが、将棋でも「羽生世代」と呼ばれる層の厚い世代があります。

羽生世代の修行時代の「島研」は業界では有名ですが、今では一般化している共同研究のはしりでした。

しかし研究会に参加しない棋士もいます。

オープン主義か秘密主義かの違いですが、オープン主義をお人好しだからやっているわけではないという点は格ゲー界と同じです。ギブ&テイクの世界で、何も与えない者は研究会に呼んでもらえないということです。

格ゲーでも「研究会」の存在は共通していたというわけですが、これはどうやら日本だけのようです。外国はゲームセンターの文化がなかったとか国土が広いなどの理由で、ほとんど行われていません。

今でも上位陣のかなりを日本人が占めているということは、共同研究が有用であるということが分かります。勝ち進んでいくと研究仲間と大会で当たることもありますが、そこまで勝ち進める実力がつくなら情報を共有してもいいと割り切っているのでしょう。

将棋では決勝戦(タイトル戦)でぶつかるくらいお互いの実力が高まると、気まずさから共同研究を解消するようなことも聞きます。

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プロゲーマーや業界に望むこと

格闘ゲームのよさを伝えたいという目標があるとのことですが、私には相当伝わっていると思っています。

プレイの技術はないのですが、ストリートファイターは素人でも見ていて面白さが伝わってくるはずです。プレイヤーも頑張っているのでしょうが、ゲームがよく出来ているということもあるのでしょう。

ときどには今後もがんばってもらいたいと思っています。しかしEVO2017の劇的な優勝は、ひとつのピークと言ってもよいほどの盛り上がりでした。

あれほどのものが見られるのであれば、いつかはEVOの観戦のために現地に行ってみたいと思うほどでした。

そしてあれほどの熱気の中心に立てたときどを、うらやましいとも。

EVO2017の感動は、今後も色褪せることはないでしょう。

欲を言えば日本でも盛り上がってほしいと思うのですが、あまり期待はしていません。

ひとことで言えば、お国柄の違いでしょうか。日本であの熱気が再現できるというイメージが湧きません。今後も海外遠征が続くのでしょうが、日本だけよりも世界で盛り上がったほうがよいと前向きに考えればよいでしょう。

終章部分で、世界中のプレイヤーとも友情を築いていっているというくだりには感動しました。

そしてゲームセンターの時代から現在に至るまで、切磋琢磨している仲間との友情が続いているということもです。

大金をかけて、地位をかけて、日々努力を続けることを皆やっているわけですが、それでも勝者と敗者に分かれる世界です。

それは他の競技の世界でも変わらないわけですが、格ゲー界のプレイヤーはゲーセン仲間の延長のような雰囲気を感じさせます。少年のままで恨みっこなしの勝負をしている(と思わせられる)ところが、とても好きです。軌跡をたどった写真がとてもよかったです。

プレイだけでなく、イメージ戦略(といっては繕っているようですが)も大切にしていって欲しいです。

ときどは空手の先生から「ゲームが上手いだけの人間になるなよ」と言われたそうです。

EVO2017で十分満足した私が、プロゲーマーや業界に今一番望むこともこれでしょうか。

ときどに関してはまったく心配はしていないのですが。

将棋の話で言えば、何年か前に県外の将棋スクールが大会荒らしに来たことがありました。

どいつもこいつも挨拶もろくすっぽできない「将棋が強いだけのクソガキ」でした。子供を叩いても始まらないのでそれ以上は言いませんが、あれは指導者に問題があったのだと思っています。

はっきりいって大人の将棋指しにも、将棋が強いだけのクソガキが大きくなっただけのような人間もいます。プロゲーマーのそういう姿は見たくありません。

芸能界では「真っ当な人間では面白くない」と言って、犯罪者を擁護するような向きもあります。とんでもないことです。

ときどは見栄えがいいこともすばらしいと思っています。

ブサイクが活躍すると業界のイメージが下がることは、厳然たる事実としてありますから。そういう業界も知っていますから、非常に強く感じています。

格ゲー界はおっさんが幅を利かせていますが、若手も含めてなかなかの男前が揃っていると思っています。プレイだけでなくルックスと振る舞いにも磨きをかけて、業界を盛り上げていって欲しいです。

思い出せることだけ振り返っての感想を書いてみました。少なくとも後もう1回は読み返してもよいと思えるほど楽しめた本です。

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