久美沙織がドラクエ映画製作委員会を提訴 何を要求している?

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ドラクエ5が「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」として映画化されました。

そしてその公開日である8月2日、ドラクエ5の小説を書いた久美沙織さんが、映画の製作委員会を提訴しました。

ゲームが昔の作品なだけに、小説もまた古い話です。
当時はインターネットもありませんでしたが、頻繁に見かけました。
当時(今もかもしれませんが)売れっ子だったイラストレーターのいのまたむつみの表紙で、小説の存在はよく覚えています。

他のシリーズの小説は、全く見たことがないです。
ドラクエは8までプレイしましたが、5が一番ドラマチックなストーリーだったと思っています。

第一報では、主人公の名前を無断で流用されたことが理由と伝えられました。
ドラクエの主人公はプレイヤーが任意に決められるので、名前は設定されていないのです。

久美さんの小説では「リュカ」と設定されていました。
それが映画で無断で使われていたのです。

しかし当初はむしろ名誉なことだと受け止めていたのだそうです。

近々リメイクされるというディズニーの『ライオンキング』も、前作の発表当時は手塚治虫の『ジャングル大帝』の流用ではないかということが話題になりました。
しかし手塚プロダクションは好意的な声明を出して、ことを構えようとはしませんでした。
久美さんも同様の心境だったのでしょう。

提訴に至った本当の理由は、映画関係者とのトラブルです。

久美さんは今回の件に関して、インターネット上で声明文を公開しています。
これが改行の非常に少ない文章で、とても見づらいです。

2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さまを相手方とする提訴についてのお知らせテキスト

引用しながら内容を見ていきます。

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久美沙織が提訴で要求しているものは何?

求めているものは謝罪と、「リュカ提供:久美沙織」のクレジット追加です。
映画の上映中止や、関連商品の販売差し止め、金銭賠償などは求めていません。

こう書くとささやかな要求のように見えますが、訴状抜粋・要旨をながめていると、原告の怒りのほどが伝わってきます。
よくニュースで訴えられた側が「訴状を見ていないのでコメントできない」と言っていますが、なるほどと思いました。

映画冒頭で、本件映画において著作人格権の侵害があった事実を認め,特に原告の注意喚起を受けてもなお是正しなかったことに重点を置いて、遵法責任者が映画の観客,すべてのドラゴンクエストファン,および原告に対して,この順で謝罪する。原告が謝罪を受け入れたことを示すテロップを表示する。

ここまではまあいいでしょう。

本件映画の総監督・脚本:山崎貴氏,監督:八木竜一氏,全体監修:市村龍太郎氏と原告との座談会を開催し、文字起こしをホームページにおいて公開し、電磁気録媒体に音声データを収録する。

当該座談会は,事情説明と謝罪、謝罪の受容および「リュカ」および「リュカ・エル・ケル・グランバニア」が本件映画において使用された事実に関する感謝によって開始し、全員によるドラゴンクエスト全般,ゲーム「ドラゴンクエストV天空の花嫁」,本件小説,本件映画,「リュカ」に対する愛の表明によって止揚されるものとする。

幹部制作スタッフを引きずり出して、ここまでさせるかと思いました。
まあ謝罪の安い世相ですので、金銭の請求もしないのであればある程度の形式は必要なのでしょう。

それにしても物々しい文章です。
止揚の意味が分かりませんでした。
「矛盾する諸要素を、対立と闘争の過程を通じて発展的に統一すること」とのことでした。
無論作成は弁護士が行ったのでしょうが、原告容認の上で提訴したのも事実です。

しかしどうやらトラブルを起こしたのは裏方のようです。
特に市村氏は鎮静に奔走したとのことで、久美さんは感謝の言葉も述べています。

くわしく見ていきます。

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久美沙織が提訴で問題にしていることとは何か

問題の焦点は、映画「DRAGON QUEST YOUR STORY」で、「小説ドラゴンクエストⅤ」で私が創作した主人公の名前「リュカ」を無断で使用されたことと、リュカに対する呼びかけである「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」が無断で「リュカ・エル・ケル・グランバニア」と改変されて使用されたことです。

名前に関しては著作権は認められないという判例があるので、「リュカ・エル・ケル・グランバニア」に争点を絞って争うとのことです。

裁判には勝っても負けてもいいとの考えです。
よく市民運動家が、主張の周知を目的にした裁判をあちこちで起こしています。
あれと同じようなものでしょうか。

久美さんが主人公の名前が「リュカ」と知ったのは、映画化の発表後でした。

私の付けた名前を映画制作スタッフのみなさまが気に入って使って下さるのなら、名誉なことと受け止めておりました。

一切の連絡がなかったことは引っかかっているようでしたが、このようにコメントしています。

久美さんが別件で小説原作の漫画担当者とあった際、2つのことをお願いしました。
映画の販促の部材を自身の参加するイベントで使いたいのでその提供、そして小説の広報です。

リュカの件は出さず、あくまでも「おたずね」するという形で申し出たそうですが、後日断りの回答がありました。
これはその漫画担当者がもちかえり、小説の出版元であるスクウェア・エニックスが社として回答したということでしょう。

まるで、こちらが突然、不遜にも過大な要求をしたかのようなお返事をかえされたと感じました。

このようにコメントしています。

リュカの件は問題ではなく、こじれたのはこのことが原因です。

多くの人間が関わる創作においては、信頼関係がなければ発展はない。
このことを先方は分かっていないと言いたいのでしょう。

これを受けて全体監修の市村龍太郎氏が対応に当たりました。

市村氏は「リュカ」と「リュカ・エル・ケル・グランバニア」を使うに至った経緯やそのことについての事前の連絡の欠落について率直にご説明くださり、夫も、私の意を受けて、事後とはいえご連絡頂いたからには感情的な結ぼれはないこと、および、「リュカ」の名を映画で使って頂いた感謝を伝えたと存じます。また、市村氏は、イベントでドラゴンクエストについてお話しすることが商業利用でNGとの当初のご判断についても撤回くださり、必要な宣材を提供してくださることもご快諾いただき、実際にすばやくお手配くださいました。

また、市村氏は私を試写にご招待くださりもし、たいへん楽しみながら映画「DRAGON QUEST YOUR STORY」を拝見する機会にも恵まれました。

正式な契約についてたずねると、製作委員会の一員である東宝へ話が持ち込まれたようです。
そこからの回答は、スクエニからの説明では分からないから久美側で一から説明しろというものでした。
結局製作委員会側から動くことはしないとの回答だったのですが、ここでも対応を誤った感じがします。

さらにスクエニの代理人の弁護士から「リュカは著作物ではないから連絡も許諾も不要。提訴すれば不法行為。」という連絡が来ました。

その指南に従って(?)「リュカ・エル・ケル・グランバニア」で絡むことに決めたようです。
これは著作物ではなく成果物と呼ばれています。

弁護士といえば勉強ができる人がなれる者だと思っていましたが、お粗末な対応ですね。
お粗末なのは、製作委員会も同様ですが。

まあ早々に折れて和解することでしょう。

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ドラクエ映画に関するもうひとつの疑問点

発表当初からきな臭いと思っていました。

それは私だけではないでしょう。
ドラクエのキャラクターデザインを担当していた、鳥山明さんの名前がなかったからです。

当時理由を調べてみたところ、海外展開にあたって鳥山のデフォルメの強い画風が合わないから、という話を見つけました。
しかし鳥山明さんは『ドラゴンボール』の作者でもあります。

同作は海外で大人気を博しているというのに、絵が海外向けではないというのもおかしな話です。
権利の分配をしたくなかったからではないか、と勘ぐったものです。

そもそも映画がリアルタッチの描写だとしても、「デザイン」はそのまま使っています。
主人公のターバン、マント、脇役まで含めたヘアスタイル、それらの配色など。

ドラクエ以外の作品で、これらを登場させることは不可能です。
これで鳥山明さんの名前を出しもしないというのは、あまりにも不自然でした。

権利関係がどうなっているのかは存じません。
しかし少なくとも漫画等の出版業界においては、権利を作者から完全に買い取るという話は聞いたことがありません。

さすがにひとことの断わりもなかったとは思えませんが、今回の件から考えるとあり得ない話ではないという気がしてきました。

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