龍と苺7話ネタバレ 覚悟の差
市大会決勝に勝利!!優勝した苺の前に座るは伊鶴"八段"。プロ相手にも、臆することなく挑めるか。
苺とプロの試合が始まる。
伊鶴は初形からではなく、月子との勝負の投了図から始めることを告げた。
やはりさすがに伊鶴のほうが上だったか。調子づく言動が止まらない。
「その通り。3四歩と指されたら嬢ちゃんの勝ちが決まってた。」
「嬢ちゃんの100倍将棋が強い。」
「良い読みだが俺なら別のトコに指す。どこかは教えない。」
「1000手先までは秒で読む。それがプロだ。」
手も読んでいるが、相手の考えていることも読んでいた。
それをいちいち口にする。
そしてそれは苺だけにではなく、彼女に敗れた月子に対してもだった。
「伊鶴さんが逆転するって言ったからにはするんだと思った。でも、私が投げた盤面から本当に…」
「私もこの一年強くなったはずなのに…なんなのこの差は…」
「やっぱり…男の人には…」
「違う。覚悟の差だ。」
龍と苺7話感想 なんで負けるんだよ!
ツッコミどころだらけのプロ棋士の言動。
一番笑うところは、賭けに出していた苺の財布を取ったときの以下の発言。
「こいつは預かっとく。返してほしけりゃ受けて立つ。ただ俺はプロだ。アマと勝負はしない。返してほしけりゃプロにこい。」
アナタ、今そのアマと勝負したばかりじゃないですか!
それも挑んだのは自分からだったでしょ!!
しかも相手は嫌がっていたのに!!!
投了図から指継ぎというのは、ありそうな話です。
これは昔NHKの「大逆転将棋」という番組でやっていました(今調べたところ、この番組はおととしから復活していました)。プロ棋士と芸能人がプロの投了図から指し継ぐというものです。
芸能人が勝ったところは見たことがありません。
引き継ぎ局面はアマには見えない決め手を指さなければ勝てないものを選んでいるはずで、その決め手を逃せば逆転します。
だからアマ同士が指し継いでも逆転する可能性もあるでしょう。
なまじ初形から始めるより勝ちやすいし時間もかからない。
万一決め手を指されて負けても、投了局面からだったからと言い訳できる。
どこが覚悟やねん。
ただ共感できる発言もありました。
「将棋ってのは、両者最後まで諦めないってことはできない。」
当たり前のことでしたが、たとえ詰んでいても終わらせるのは敗者の側というのが将棋です。
特にこの漫画のようにケンカで将棋を指しているような設定であれば、投了にもドラマを感じられます。
「1000手先までは秒で読む。それがプロだ。」
この発言にも触れておきます。
読める手数が多いほど強いというのは、いつまでもなくなることがないと思われる誤解です。
先日藤井聡太がAIが6億手読んで出した手を指したと話題になっていましたが、6億はおろか1000手も読みません。
私が言うのではなく、プロがそう言っているのです。20年くらい前の本、『読みの技法』だったと思いますが、言っていたのは森内名人だったでしょうか。
10手も読めないと。
「その手は気づかなかった」というのはよくありますが、だからといってその人が1手先を読む力がないということではありません。
読むという概念は深さがすべてではなくて、「広さ」も重要です。
詰将棋のように、手数だけなら私でも20手近くは読めます。詰将棋のような答えがない局面を、どのようにとらえるかという力も重要でしょう。読んだ先の局面を判断する力がなければ、いくら深く読んでも意味を成しません。
今回は投了局面からの指継ぎでしたが、私は「駒落ち」に誘うと予想していました。これも負けても言い訳ができる手口ですが、時間もかかるし指し継ぎほど勝ちやすいわけでもありません。
苺は負けてしまいましたが、見たくなかったですね。
甘く見たプロが二枚落ちに誘って負ければよかったのに。指継ぎに誘うあたりといい、なかなかしたたかです。玉砕した元奨のおっさんとはさすがに違いました。
苺はプロになるのでしょうか。アマのままアマプロ戦で暴れまわる方が、時間もかからないし面白いと思ったのに。
『龍と苺』感想 面白いよ!ひどいつまらないと言っているのは将棋マニア?
プロを目指すとなると時間がかかります。この生意気なプロが叩きのめされるのを早く見たいんですよ。やっぱりこのプロにはここで負けてほしかったです。
逆に指導対局と称してプロが大挙して押しかけるくらいの方が、苺の才能が際立つと思ったわけです。
『響』では主人公は一度も挫折がなかったのに。なんだかテンポが悪い展開となってしまいました。