eスポーツの認知度が日々高まってくるのを感じます。
ついこの前までは「ゲームを競技として…」みたいな断りを入れていたのが、先日のニュースではもう周知の用語として扱われていましたから。
NHK『逆転人生』にもeスポーツの選手が登場します。
格闘ゲーム『鉄拳7』のプレイヤー、チクリンこと嵩裕太さんです。
TWTファイナル優勝しました!
自分でも信じられなくて全く実感が湧きませんが、遂に夢だった世界一になる事が出来ました。
ここまでサポートして頂いたひぐちグループの皆様、練習に付き合って頂いた皆様、応援して頂いた皆様に本当に感謝したいです!
今後も、もっと頑張って行きます!! pic.twitter.com/TylYfnyRUb
— THY l chikurin / チクリン (@chikurintut) December 8, 2019
私も格闘ゲームはよく遊んでいるのですが、『鉄拳』はかなり昔に遊んだことがある程度です。今は遊びきれないほどゲームの数も増えてきましたが、時間があれば鉄拳もやりたいとは思っています。
今は『ストリートファイター5』を主にプレイしているのですが、最近では観戦が中心です。別のゲームではありますが、プロゲーマーについてはそこそこ詳しくなりました。
チクリンこと嵩裕太さんや、格闘ゲームについて書いていきます。
嵩裕太(鉄拳のチクリン)のプロフィール 経歴と名前の読み方は?
生年月日:1989年2月3日
出身地:長崎県諫早市
年齢:31歳
「嵩」は希少名字で、全国で460人ほどしかいないそうです。出身の長崎に固まっているとか。
高校を中退されているそうですが、鉄拳の実績で最初に名前が挙がっているのが2007年のことです。中退とほぼ同時期ですが、その頃からゲームに本腰を入れ始めたということでしょうか。
私の知っている将棋のプロ棋士も高校を中退していますし。今話題の藤井聡太も、本当は高校には行きたくなかったという話です。
しかし、その頃はプロゲーマーという職業はまだ確立していなかったはずです。
日本人プロゲーマー1号の梅原大吾がスポンサー契約をしたのが2010年のことでした。それもかなり降ってわいたような話だったので、チクリン選手はプロ入りを目指して高校を中退したというわけではなさそうです。本当の理由は分かりませんが…
ところで、少なくとも団塊ジュニア世代以降の人は、ゲームセンターに出入りする人間は不良というイメージを持っていると思います。今プロゲーマーとして活躍している選手たちも、元はそれに準ずるところに属する人間だろうと思われているのかもしれません。
しかし業界を知るにつれて、そうではないことが分かってきました。
少なくともストリートファイター界隈の名高いプロゲーマーは、みんなよいところのお坊ちゃんばかりのようなのです。
東大卒プロゲーマーとして有名な「ときど」選手は、出身の沖縄の財閥の家柄で、父親は大学教授です。梅原大吾の父親は医者だったでしょうか。
引退したナニガシというプロも家がビルを多く保有している資産家で、やめても生活に困るわけではないからという話がありました。
彼らは「ギフト勢」と呼ばれています。ゲームセンターで十分な練習をするのは、おこづかいをふんだんにもらえるような子供に限られるということです。
ただ最近は家庭用ゲーム機でゲーセンと遜色ない環境が得られるので、おこづかいが少ないから練習できないということはないのでしょう。
2007年の『鉄拳5 DARK RESURRECTION』はPS3の時代のゲームです。PS3の性能なら、ゲーセン版を十分再現できていたと思われます。
ただゲームの活動にご両親がかなり理解を示していたという話もあります。チクリンもやはり「ギフト勢」なのかもしれません。
嵩裕太(鉄拳のチクリン)の収入は?プロゲーマーはどのくらい稼いでいるの?
テレビ出演のきっかけとなったのは、2019年の『TEKKEN World Tour 2019 Finals』の優勝を受けてのことでしょう。
優勝賞金は約800万円(賞金総額から割り出した推定額)です。
これは昨今のeスポーツの優勝賞金としては、かなり安いと感じます。
よくプロゲーマーの収入が話題に上りますが、プレイするゲームによって大きく左右されます。
同じ格闘ゲームのストリートファイターでは、賞金総額の最も高いカプコンプロツアーの優勝賞金は、約1300万円です。
そもそも格闘ゲーム自体がeスポーツの中ではマイナージャンルで、人気ゲームだと優勝賞金はケタが違ってきます。
・DOTA2 約12億1500万円
・フォートナイト 約3億2500万円
・リーグ・オブ・レジェンド 約2億6000万円
2019年のベスト3はこのようになっています。
ただ大会の賞金というのはボーナスのようなもので、それとは別にスポンサーからの固定給というものがあります。
ただ、これがなかなか表に出ないんですよね。後進のためにも公開してよさそうなものですが。
梅原大吾はまだ30代ですが、すでに一般人の生涯賃金は稼いでいるといわれています。
ときども複数のスポンサーがついていますが、年収は数千万という話をどこかで見たような気がします。
優勝には及ばないものの大会上位にはいつも上がってくる、という中堅クラスでも、4ケタはあるという話も聞きました。
これはそうなのだろうと思います。トップクラスで3ケタでは将来性がないですから。
プロゲーマーの厳しい実情について
しょっちゅう契約満了というニュースを聞くにつけ、非常に不安定であると感じます。
成績不振や気力の減退などで、契約を更新しなかったり引退したりする選手も多いです。
優勝常連のときどでさえ何度もスポンサーが変わっています。しかし彼の場合はスポンサーの都合のようです。スポンサー1号は倒産しましたし。それでもいつまでも勝ち続けられるという保証もない以上、頻繁に移籍するのはやはり不安だと思います。
ときど努力本『努力2.0』感想 面白いよ!格ゲーファンにおすすめ!
少なくとも日本のeスポーツは、まだ先行投資の段階だと感じます。どうやってマネタイズするのか、私にはよく分からない部分が多いです。
NTTや日清食品など大手企業が参入しているのは、海外での市場拡大の話を聞きつけたからでしょう。日本人なら普通は「たかがゲーム」くらいにしか思わないはずです。大手企業がそんなにもの分かりがよいはずがないのです。
どうやって集金するのかよく分からないと書きましたが、プレイ人口の多さを忘れていました。
eスポーツの競技人口は全世界で1億人以上で、これはテニスに匹敵する数字です。
観客は4億5400万人以上と推定されています。これだけ集客できれば、広告でも物販でも何でもできますね。
ただ海外のゲーム大会の決勝は熱狂的で、日本とは国柄が違うと感じます。日本でeスポーツが根付くかはまだ未知数でしょう。
選手も当分は海外遠征をして稼ぐことが続くはずです。これがきつくて、空港から車で移動に数時間とかザラらしいです。あと食事についても。
ときどに次ぐ実績の「ボンちゃん」選手は、近年ではときど以上の活躍を見せていましたが、結婚を機に海外遠征は控えることにすると発表していました。とてももったいないです。
番組内で「パキスタンへ武者修行へ行った」とありましたが、業界人にとって海外への移動は日常業務です。大変なことは大変なのでしょうが、一般人が感じるほどの負担ではないはずです。
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格闘ゲームは頻繁に「バランス調整」が行われ、使うキャラクターによって優劣がつかないように性能に細かい変更が加えられます。
これは必要なことではあるのですが、いわばルールが変えられるようなものですから、絶えず情報を取り込んでいく必要があります。
チクリン選手のフィールドである鉄拳は賞金が安いと書きましたが、それは人気がないからです。将来的に市場が残っている保証すらありません。これはどんなゲームも内在しているリスクです。
器用に人気ゲームを渡り歩くことができればよいのですが、彼は鉄拳一筋という感じなのでそれも難しいでしょう。
いろいろ書きましたが、収入のことだけ考えるのであれば太く短く稼いだほうが、会社勤めをするよりはずっとよいはずです。
ただその分、まあ当然なのでしょうが、色々きついことが多いと感じます。将棋のプロ棋士の故・米長邦雄も年収数千万稼いでいましたが、苦労に見合わないと言っていました。
ただプロゲーマーはその比ではないでしょう。ウメハラの著書を読むと、効率的に練習しないと体を壊してしまうことが分かります。まぶたがけいれんして閉じなくなったとか、湿疹が出たとか言っていたでしょうか。量にものをいわせた練習に限界を感じたとのことです。
指を動かすだけなのでラクな仕事と思われているのかもしれませんが、決してそのようなことはありません。
eスポーツ選手がジム通いしてトレーニングしているという話も、長嶋一茂はウソだと決めつけて小バカにしていました。しかし例えばときどの体つきを見れば、日々の努力がうかがえるでしょう。
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ときどやチクリンも言っていましたが、トップ選手はもはやゲームが強ければそれでよいというものではありません。業界の顔という自覚をもってふるまうべきだと、彼らは考えているのです。身だしなみや言動は常に見られています。
業界の開拓者である彼らの気苦労は尽きることがありません。格闘ゲームで1億円プレイヤーが出てくるのを楽しみにしています。
嵩裕太(チクリン)の鉄拳7での活躍について
格ゲープレイヤーには、一つのキャラクターだけを使い込んで練度を高めるタイプと、複数のキャラクターを使い分けるタイプがいます。
チクリン選手は後者です。シリーズが変わるたびに使い分けていて、一つの作品内でも複数のキャラを使っています。
一つのキャラクターを使い込んで練度を上げるのも有効なのですが、リスクもあります。
・頻繁に性能の更新があるので、弱体化される可能性もある。
・キャラクター間には相性があるので、複数のキャラを使えた方が対応しやすい。
・一点に絞ると対策されやすい。
先日のチクリンの世界戦決勝でも、普段使っているギースというキャラクターが相手との相性が悪いと見るや、控えのキャラ豪鬼に切り替えてストレート勝ちしていました。
豪鬼は普段使っているギースと相性が悪いと考えていて、豪鬼のことを知るために使っていたそうです。こういうメリットもあるのですね。
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チクリンには 「努力の天才」「努力のラストサムライ」 の異名があります。
実績を調べていると確かに遅咲きと感じます。2007年がベスト4、その後も地区予選のようなローカル大会では勝てているものの、世界大会では振るいませんでした。
2017年はEVO2017でときどが劇的な優勝を果たし、その後の快進撃が始まった年でした。
しかしチクリンの同大会の成績は17位。そして翌年も振るわず。
2019年は出場する大会が激増しています。
ときども可能な限り大会に出場することにしていて、その中でしか鍛えられないこともあると言っていました。
チクリンも見事に栄冠を手中に収めました。
鉄拳のコスプレイヤーの画像が圧巻の美しさ!
鉄拳は映像の美しさも大きな魅力ですが、キャラクターのデザインもまた同様です。
コスプレイヤーを見るのが好きなのですが、鉄拳キャラを見るのは初めてです。
逆転人生に鉄拳のコスプレイヤーが登場するとのことなので調べてみました。
みなさんすばらしいですが、こちらのきょまさんが第一人者でしょうか。
ご本人のツイッターより引用
腰ぬかしました(笑)鉄拳以外の作品のコスプレイヤーを含めても、ここまでのレベルはそうそうないと思います。
これはアンナ ウィリアムズというキャラクターです。昔使っていました。なつかしいです。今はこんなにゴテゴテ衣装をまとっているとは。
こちらは私が遊んでいたころの『鉄拳2』のアンナです。
ゲーム内のグラフィックがすでに現実を超える美しさで、これが限界と思っていました。PS5ではこのコスプレのレベルのグラフィックを求められることになるでしょう。
こちらはエリザ・ジョシーというキャラです。これは知らないのですが、最近のキャラなのかもしれません。すげーです。
格闘ゲームはなぜ人気がないの?その理由とは
かつてストリートファイター2の大ブームがありましたが、現在ではかなり廃れてしまいました。
ゲームがシリーズを重ねるにつれて複雑になりマニアックになったのが原因とも言われました。
それもあるのかもしれません。
しかし元々格闘ゲームは奥が深いもので、問題はゲームの方ではなくプレイヤーの側にあるという説があります。プレイヤーのやり込みで実力差が開いたために、多くのライト層が勝てなくなり離れていったということです。
鉄拳のプロデューサーがかなり込み入った内容の発信をしていて、そのような内容の記事を読んだことがあります。
上達する気がなければ勝てなくなるでしょうし、そもそも技を振って殴ったけっただけでは飽きてしまうでしょう。
技をひととおり出すための練習は結構大変ですし、プロですらその精度を維持するために毎日何時間も練習するほどです。
最近はゲーム好きを公言する芸能人が増えてきました。俳優の松坂桃李は、カードゲームがかなり強いらしいです。
番組中で佐藤かよとの対戦が組まれるようですが、チクリンが遅れを取るようなことがあったとしても八百長とは思わないで下さい。
ゴールデンボンバーの歌広場淳は、世界チャンピオンのボンちゃんと互角の勝負をしたことがありました。
こういうのは普及のためのよい広告になるかとも思ったのですが、そうでもないですね。
ゲーセンでも将棋と麻雀の人気の差は歴然としたものがあります。
遊び・娯楽なのですから、ストイックに修練を積むことなど多くの人が避けるのは自然なことです。今後格闘ゲームが爆発的なブームを起こすことはないでしょう。
しかし代えがたい魅力があることも事実です。プロは普及も重要な仕事なので、その魅力を多くの人に伝えることも期待します。
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