風魔の小次郎の新作が37年ぶりに発表されました。
タイトルは「風魔の小次郎・序の巻」
死んだはずの項羽や霧風が出ていたのですが、彼らが生前の小次郎たちも含めた修行時代のエピソードのようです。
しかし読む機会はありませんでした。少年チャンピオンの増刊みたいな雑誌での連載だったようですが、コンビニでは扱っていなかったからです。本屋にはたまに行くのですが、発行部数の問題なのか目に止まりませんでした。
読みたいのは風小次だけなので、通販で買うほどのものでもないと思いました。いずれ単行本を購入するつもりだったのですが、今回の究極最終版1巻の冒頭に収録されました。
風魔の小次郎・序の巻 あらすじ&感想
そもそもまだ漫画を描いているということに驚きです。
同年代のジャンプ作家で活躍している方は他にもおられますが、正直なところ車田先生の衰えが一番目に見えて激しいです。
特に絵に顕著です。
絵が変わらない他の作家は、もう自分では描いていないのかもしれませんが。
一番好きだった漫画家は車田先生だったので、発表されれば読みたくなります。そして実際読むのですが、残念ながら満足感は薄いです。
内容は奪われた密書を、小次郎、竜魔、項羽、霧風が奪い返すという話です。奪ったのは、風翁(ふうおう)と呼ばれる伝説の忍です。
竜魔までもが倒されるのですが、最後に残った小次郎が起死回生の風魔烈風で逆転勝ちします。さて、風翁の正体とは…?
分量は74ページで、そこそこの読み応えはありました。あれほど強い竜魔が隻眼となった理由を知りたいと昔から思っていたのですが…
風魔の小次郎・究極最終版を買う意義とは?
JC全10巻をすでに持っていて、今でも書庫にあります。
持っていなくても、通常であれば今回の究極版を買うことはありませんでした。本作に限らずそもそも漫画本は場所を取るので、買うことはほとんどありません。
今回は序の巻が収録されるとのことだったので、買う方にかなり傾いていたものの、それでも迷いました。
決め手は、雑誌収録時のカラーや扉絵、アオリ文等を完全に再現しているとの文言でした。
当時の少年ジャンプの勢いは右肩上がり、いやジャンプだけではありません、時代が上向いていたと言えるでしょう。当時の私もまだ子供、バブル経済もまだまだ先のことです。懐かしさもあるのですが、その頃の上向きの時代の空気を思い出したいと考えて購入を決めました。
期待に違わぬものでした。
風魔の小次郎も人気トップだったことは知っていましたが、想像以上のものでした。
『リングにかけろ』が巻頭カラーで最終回を迎え、新連載の風小次も3回連続巻頭カラー!
プレッシャーも相当あったはずですが、見事に期待に応えていたのですね。
武蔵との大雪の中の決闘は、なんと全ページオールカラー!
私の記憶では、他にはドラゴンボールと聖闘士星矢があります。風小次は今にして思えば作品としては小粒だと思うのですが、ストーリー上のクライマックスでこれをやったことに意義があると言えるでしょう。のちの失速がなければ、リンかけや星矢に劣らぬ大作になっていたはずです。
アオリ文の再掲もいいですね。
扉絵も含めて、これらはストーリーのテンポを損なうので単行本では削られるということは分かります。しかし過去の単行本と同じことをやっては意味がありません。
毎回の最終ページにあった「予告」をなぜやってくれなかったのでしょう。ウソの予告も頻繁にありましたが、あれは構想上では存在していたのでしょうね。
「劉邦対黒獅子」みたいなのもあったような気がします。不人気キャラを活躍させても、それこそテンポを損なうのでボツになったのでしょう。
しかしやってほしかったです。どうせなら目次ページの作者コメントも。
作者コメントで思い出しましたが、今回の究極版に寄せて作者の解説なりコメントを読みたかったです。最終巻であるのかもしれませんが。大いに期待します。
扉ページはカラーも多く、再掲は嬉しいです。
赤星の矢を射た時、ジャンプではしっかりしたページがあったのですね。削除された理由もやはりテンポを損なうということなのでしょうが、今回見ることが出来てよかったです。
ふと思ったのですが、地球にはないのになぜ月はクレーターだらけなのでしょう。地球のクレーター気候の変化でならされたのかもしれませんが。
もうひとつ。月は常に地球に同じ面を向けていたはずです。クレーターは外部から飛んできた隕石が落ちた跡だと思うのですが、なぜ地球から見た面にそれが見えるのでしょう。私はなにか勘違いをしているのでしょうか?
究極最終版全3巻を購入すると、抽選で30名様に複製原画が当たるそうです。一応応募はしますが、もっと豪華なものがよかったです。
たとえば聖剣のミニチュアとか。
サイズはボールペンくらいがいいですね。もちろんプラスチック禁止で。おとなのおもちゃ(こういう書き方もなんですが)なのですから、安っぽいものでは認められません。
黄金剣もせめて純金メッキで。
聖闘士星矢のフィギュアで、黄金に輝くペガサスの聖衣という商品を持っているのですが、これは純金のメッキが施されています。これを思えば、黄金剣は完全純金製も可能かもしれません。
風魔の小次郎・夜叉編感想 小次郎対武蔵の名シーンに感動!
今回の究極版は夜叉編のラスト、立ちつくした武蔵をあとに風魔の戦士たちが去っていくところで終わっています。
JCでは次のページからいきなりカオス編に突入していました。しかしやはり余韻を残す意味でも、ここで終わったほうがよいですね。文庫版でもたしかその様になっていました。
文庫版で思い出しましたが、今回の究極版でもセリフの改ざんが目に付きます。気が違ったか!のたぐいのセリフは、ことごとく改ざんされています。巻末の奥付では「現在ではふさわしくない表現がありますが発表当時を尊重して…」云々の断り書きが入っているのですが。
私が少年ジャンプを初めて読んだ場所は、歯医者の待合室でした。「項羽・白羽陣の巻」あたりだったと思います。いや~なつかしい。
絵は線が太く見やすく、コマも大きく見開きもふんだんに使い、そしてセリフにもキレがあります。
お、おまえは!
フッ笑止!
幻覚か!?
車田節絶好調!
パワーが紙面からあふれています。
技も白羽陣、夢幻陣、そして死鏡剣!と多彩です。技の名前だけ叫ぶと相手が吹っ飛んでいくというようなものではありません。むしろそれだけでバトルをもたせるのも、またすごいと言えるのかもしれませんが…
他にもサイキックソルジャー、その正体は黄金剣!など、思えば聖闘士星矢の聖衣や小宇宙に劣らぬほどのアイデアが注ぎ込まれています。
「おにいちゃんをひとりぼっちにしないでくれーーーッ」
妹が死ぬ時の武蔵の心の叫びが、読者の心にも響いてきます。
「オレにもやつの妹の声が聞こえたような気がしてな・・・」
小次郎のセリフも、実に情緒あふれています。
内容紹介
当時の興奮が甦る!新作「序の巻」も収録!
白鳳学院と誠士館のスポーツ名門校同士の争いは、やがて命を懸けた忍びたちの未曾有の死闘に…!
遂には無敵の傭兵・飛鳥武蔵率いる夜叉一族と、小次郎・竜魔・小龍・霧風たちを擁する風魔一族と決戦の火蓋が切られた!
漫画史に残る小次郎と武蔵の雪上の激闘は必見!!当時の興奮が甦る、究極の最終決定版!!
各巻約700頁のボリュームに加え、3巻合計210頁にのぼる
雑誌掲載時のカラーを完全収録。扉絵や単行本未収録、単行本の描き下ろしなど
原画からハイクオリティーに再現して収録しました。
また扉絵と最終ページには雑誌掲載時の煽りやコピーを再現。
連載の興奮が甦るとともに、当時の時代背景や熱量を感じられます。
大幅な加筆修正も加わり、「究極最終版」に相応しい充実した内容です。さらに第1巻には、ファン待望の37年ぶりの描き下ろし「序の巻」(75頁)を収録。
小次郎たちが新たに躍動するストーリーは必見です。第2巻は、巻末付録に
1981年に発表された最初の告知カットや、ジャンプの表紙を飾った
描き下ろしなどレアイラスト集。そして第3巻には、本書でしか読めない
珠玉の描き下ろしエピローグ「終の巻」(14頁)を収録。
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