昨日はルーズベルトゲームが成立し話題になりましたが、今日のDeNAの奮闘でさらに盛り上がりました。
野球用語のルーズベルトゲームの意味とは?阪神対DeNAを例に解説します
DeNAが阪神に勝利し、逆王手をかけました!
お互いあと1戦です。
さて、この「逆王手」という言葉に違和感を覚える人が多いようです。
将棋を知らない人でも、語感からそう感じるようですね。自分もまだケツに火がついている状態には変わりがないのに、逆転であるかのような表現だからでしょう。
野球で使われる「王手」自体が例えであり、「逆王手」が「間違った使い方」というのもいうのも分かりづらいですね。
「例えとしてふさわしくない」ということは言えると思います。
あと1戦で勝利という状況を「王手」と例えるのは適当ですが、後から追いついて同じ状況になることを「逆王手」と例えるのは適当ではないということです。
逆王手の正しい意味とは?おかしい使われ方が気になる
自分の玉にかけられた王手を防いだ手が、相手の玉に王手をかけている
この状況でかけている相手玉への王手を「逆王手」といいます。
相手が△5四香と打ちました。これは相手がこちらの玉にかけた「王手」です。
王手をかけられた場合、それを解消しなければなりません。それはルールにも定められています。
▲5六桂と打って、相手の香車の利きを遮断しました。
そしてこの手は、相手玉への王手にもなっています!
これが「逆王手」です。
相手はこちらの桂馬を取って、自玉への王手を解消しました。
そしてその手は、こちらの玉への王手にもなっています。
これも「逆王手」です。
逆王手で1勝1敗?阪神対DeNA戦のおかしい表現に代わるものはあるか
野球での「逆王手」の使われ方が不適当であるのは、自玉への「王手」を解消していないからでしょう。
今回はDeNAが逆王手をかけたと報じられましたが、次戦で阪神の最終ステージへの進出の可能性が消えたわけありません。
将棋のタイトル戦の番勝負でも、あと1回勝てば決着する状況を「王手をかけた」と表現することはあります。しかし後から追いついてフルセットになった状況を「逆王手」と表現することはありません。
そして本家の将棋でも、この状況を適当に例える表現はありません。
どうも野球でのこの状況を例える適当な表現は、少なくとも将棋用語にはなさそうですね。
日常生活で使われる将棋用語は何?
成金
実は将棋用語に「成金」というものはありません。
「歩」が敵陣へ入るか、敵陣内で動いた時、「金」の動きができるようになります。その時に駒を裏返すのですが、裏には金のくずし字である「と」の文字が描かれています。
これを「と金」と呼びます。「成金」というのは、この「と金」のことです。
「IT成金」「土地成金」という使われ方をします。家業や親の金を相続したわけでもなく、一代で一山当てた者のことです。
ただこの言葉は、どうも蔑みのきらいがありますね。
調べたところ、第一次大戦時にうまく立ち回って財を成した者に対して使うようになり、一般にも広まったそうです。札束に火をつけて灯りにする成金の絵が、教科書にも載っていました。
将棋のと金に悪いイメージは一切ありません。「逆王手」ほどに不適当とも言えませんが、「王手」ほど適当とも言えない気がします。
将棋倒し
事故の状況で使われますが、将棋連盟は嫌っているようです。かなり昔にマスコミに対して使うなという要望を出していました。
当時は細かいことだと思ったのですが、「将棋用語」とは言えないといえばそうでしょう。本来の使い方ではありませんから。
「ドミノ倒し」でよいのかもしれませんが、「将棋倒し」が将棋のイメージをそれほど損なうものだとも考えていませんでした。
高飛車
これも将棋で使われるところを聞いたことがありません。
一般への解説で、横歩取り△8五飛車戦法から取ったと言われるのを聞いたことがあります。しかしこれはあと付けで、戦法の成立以前から高飛車という言葉が一般に広く使われていたことは間違いありません。戦法が成立したのが比較的近年なので、はっきり覚えています。
詰み
インターネット上で近年よく見るようになりました。
「詰み」と「詰んでいる」というのは、微妙に違う感じがします。
「詰んでいる」というのは、北斗の拳でいう「おまえの命はあと3秒」という状態のことです。
こう見ると日常で使われる将棋用語には、ろくなものがありませんね(笑)
しかし「逆王手」だけは、ふさわしくないということは言えそうです。
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