先日グーグル製の将棋ソフト「AlphaZero(アルファゼロ)」の棋譜が100局発表されました。
羽生名人が特に見ごたえのあると選んだのは、次の10局です。
12,17,18,23,32,35,52,76,78,81番
羽生善治名人の選んだアルファゼロ将棋棋譜10局kifファイルまとめ
なお、こちらの記事で紹介した棋譜は、12番のものです。
もう1局紹介します
100局もあるので、とりあえず羽生名人のおすすめした棋譜から見ようと思ったのですが、
手数が長いものばかりでした。
どれも150手超え、200手以上のものも結構あります。
見ごたえがあるとのことでしたが、私は少し疲れます。
この将棋も長手数でしたが、81番の棋譜を紹介します。
先手:elmo
後手:AlphaZero▲7六歩 △8四歩 ▲7七角 △3四歩 ▲7八銀 △9四歩
▲3六歩 △8五歩 ▲6八玉 △3二金 ▲3八銀 △3三角
▲同角成 △同 金 ▲7七銀 △9五歩 ▲2六歩 △5二金
▲2五歩 △2二銀 ▲3七銀 △6四歩 ▲4六銀 △6二銀
▲3七桂 △4四歩 ▲3八金 △6三銀 ▲5五銀 △6二玉
▲4六角 △6五歩 ▲6四銀 △同 銀 ▲同 角 △5四角
▲2六飛 △6三金 ▲4六角 △4五歩 ▲5五角 △6四銀
▲5六銀 △5五銀 ▲同 銀 △3二角 ▲4五桂 △4三金
▲3五歩 △8四飛 ▲7五銀 △9四飛 ▲9六歩 △同 歩
▲9五歩 △9二飛 ▲9六香 △5二玉 ▲6四銀左 △同 金
▲同 銀 △6二飛 ▲6三金 △同 飛 ▲同銀不成 △同 玉
▲2四歩 △同 歩 ▲3四歩 △4四角 ▲2四飛 △2三銀
▲2九飛 △2八歩 ▲同 飛 △8六歩 ▲3三歩成 △同 桂
▲同桂成 △同 金 ▲3四歩 △同 銀 ▲2二飛成 △8七歩成
▲6一飛 △6二銀 ▲8一飛成 △7七と ▲同 桂 △6六歩
▲3二龍 △同 金 ▲4一角 △5二桂 ▲7五桂 △6四玉
▲8四龍 △7四歩 ▲7九桂 △4二金 ▲5二角成 △同 金
▲5六桂 △5五玉 ▲8三桂不成△9八飛 ▲8八歩 △6三金
▲9一桂成 △9七角 ▲8七龍 △9九飛成 ▲8五龍 △7五歩
▲4四桂 △8六銀 ▲5八玉 △8八龍 ▲6八香 △7七龍
▲9九角 △8八歩 ▲3二桂成 △3六桂 ▲3七歩 △2八金
▲同 金 △同桂成 ▲5六歩 △同 玉 ▲5七金 △4五玉
▲3三成桂 △3八成桂 ▲4六歩 △5五玉 ▲5六歩 △4四玉
▲3四成桂 △同 玉 ▲8四龍 △5四桂 ▲4九銀 △3七成桂
▲3八歩 △4八歩 ▲同 銀 △4七歩 ▲3七銀 △3六歩
▲4七玉 △3七歩成 ▲同 玉 △3六歩 ▲4七玉 △2九銀
▲4九桂 △2七銀 ▲5八玉 △4七歩 ▲同 金 △6七歩成
▲同 香 △7八金 ▲5九金 △4八歩 ▲同金引 △7九金
▲6八金 △4七歩 ▲同 金 △8七龍 ▲4八金 △7八金
▲6九歩 △6八金
まで176手で後手の勝ち
アルファゼロが後手なので、盤を反対にしました。
13手目▲3三同角成
こちらから角を替えずに3三へ上がったので、向こうから替えてきました。
これをアルファゼロは△同金と取ります。
振り飛車にするならこの手はありますが、居飛車では見たことがありません。
人間の感覚では金が上ずると考えるのですが、ソフトは前進したとしか見なさないのかもしれません。
この位置は、銀であれば人間も違和感がないのですが。
30手目△6二玉
なんと右玉。
しかし陣形を整えるにはしばらく手数がかかるので、危険なようにも感じました。
ソフトはこれで十分と思っているのかもしれませんが。
そもそも右玉という戦法は、どういういきさつで生まれたのでしょうか。
私もよく指しますが、待機、迎撃するにはよい形です。
よく人間が思いついたものだと思っていました。
このあと先手は▲4六角と打つのですが…
42手目△6四銀
角が死んでしまいました。
アルファゼロもうまくやったのでしょうが、相手も角を手放すのであればもう少し慎重であるべきでした。
これで後手良しと決めつけるのは、ソフトの中ではおかしいのでしょうか。
さらに見ていきます。
51手目▲7五銀
角銀交換で手番を得て、攻撃をかけてきました。
そのなけなしの銀を、こんなところに手放すとは。
追記
私の棋譜の分析について、コメントでご意見をいただきました。
的確なご指摘、どうもありがとうございました。
62手目△6二飛
初めてソフトのとんでもない手を見られたような気がします。
elmoはこの後二枚替えに甘んじて、金をぶち込んできます。
人間も普通に考える手です。
二枚替えとはいえ、この形で飛車を渡すのは不利としか思えません。
面白くなってきました。
83手目▲2二飛成
8七にと金を作られてしまいます。
しかしそれを受けていては、飛車先を止められてしまいます。
銀を犠牲に龍を作ったということでしょう。
桂馬を跳ねることも出来ました。
優劣は分かりませんが、強い指し方だと思いました。
elmoの側も、面白い手が多いです。
99手目▲7九桂
龍を切って王手金取りをかけたのに、ここで手を戻しました。
変な受けだと思いました。
この後、金にも逃げられてしまいます。
急に崩れてしまったような気がします。
まとめ
まだ2局しか見ていませんが、終盤がもたついているように感じます。
私があとはトドメを刺すだけだと思っている局面も、
実は互角で、双方最善を尽くしているから手数が長くなっているのかもしれません。
しかし見ていてあまり面白くないです。
あとソフトは振り飛車を指さないのでしょうか。
よい戦法と思っていないということだと思いますが。
2局とも相掛かりでした。
自分が普段指している戦法で、強いソフトはどう指すのかを見たいと思います。
大きく勝ち越しているとはいえ、それほどの力の差も感じませんでした。
ポナンザがプロの名人を負かしたときのような棋譜だと思っていたのですが、
elmoもなかなかがんばっていました。
この領域では微差が大差ということなのでしょう。
これから先は、今もなのでしょうけど、私が見ても何も理解できないのかもしれません。
コメント
コメント一覧 (2件)
一部のコメントが理解できないです。
42手目△6四銀で(角を捕獲して)後手がいいとは思えません。
(個人的には、その前の△5四角が理解できていないんですが、、、
角銀交換はできても投資が大きすぎて、バランスは取れていると思いますし、
実際、打った角が3二に隠居して、4五桂と幸便に跳ねて攻めれていますよね。
▲7五銀は飛車に当てながら、
受けては8四の地点、攻めては6四の玉頭を狙って、攻防の一着ですね。
これは自信を持って「こんなところ」じゃなくて、好手と言えます。
個人的には、93手目▲4一角の局面はほとんど互角に思えるのですが、
▲7九桂馬の局面は明らかに負け。
勝手な想像ですが、▲7九桂では▲3二角成の予定
(▲7五桂や▲8五龍の王手も予定変更だったのかも)が、
それだと6七歩成以下負けと読み切ってしまって、軌道修正したような気がします。
まぁ角を打って金を取れないようじゃおかしいですからね。
人間なら潔くその順で負けるんでしょうけど、
コンピューターは最後まで粘りますからねー。
序盤・中盤共に人間が指しているのと違和感があまりないですね。
最後50手以上、勝ち目がない中で無駄に粘るのは、コンピュータらしいですが。
コメントありがとうございます。
ソフトにもかけてみたところ、ご指摘のとおりでした。
△5四角は、40手目に△4五歩を突けるようにするためのものだったのではないでしょうか?
大変参考になりました。
どうもありがとうございました。