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『ドクターキリコ白い死神』全話感想 Drキリコがかっこいい!妹ユリも登場

 

このたび京都のALS患者の安楽死の事件が報道されました。

以前から読もうと思っていたのですが、全5巻と手ごろなこともあり、これを機に全巻購入しました。

本家BJに勝るとも劣らない充実した内容です。1話完結なのも本家を継承しているのですが、これはかなり大変なはずです。

連載である必要もないと言えるので、不定期に続いてほしいです。5巻完結というのはちょっと読み足りないと感じました。

そして絵が非常に達者。

この内容と画力を持ち合わせているのは不自然だと思ったのですが、やはり原作付きでした。原作は手塚治虫なので、脚本というべきでしょうか。

ブラックジャックにおけるキリコの扱いは、必ずしも悪役だったとはいえなかったと思います。

どうなのでしょうね?風貌はいかにも悪役ではありますが。読者の感想評判でも、彼が悪く言われているのは意外と聞きません。手塚治虫も、おそらく安楽死は議論の余地があると考えていたのではないでしょうか。

私もキリコを嫌ってはいませんでしたが、どこか歪んでいるようには感じました。読んだのは子供の頃で、当時の印象です。

しかし大人になるにつれて少しずつ、そして読み終わったたった今、印象は大きく変わりました。

「安楽死は神聖な医療行為だ」

というセリフにショックを受けました。

「必要悪」ではなく「神聖な医療行為」なのです。ある意味、命を救う以上に難しいことだと気づきました。

ブラックジャック以上にドラマを作りやすい設定といえます。バラエティに富んだエピソードを楽しめました。

この話は…

医者でありながら安楽死の請け負いを生業とする

Dr.キリコ―――死神と呼ばれる男の物語。

「死の讃歌」である。

 

とても面白かったので、ぜひ読んでみてください。読んでみたくなるように感想を書いてみました。

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Dr.キリコ~白い死神~ 1巻感想

第1話 殺す医者

延命治療の問題の一つ、経済的負担を描いたエピソードです。

医療マンガのほとんどは患者を救ってハッピーエンドとなるのですが、ドクターキリコが主人公ではそうはいきません。毎回どんなラストになるのかを期待しながら読むことができます。

第2話 延ばされる命

依頼人の息子から拉致されます。

目的は愛人には一銭も相続させたくないから、遺言状を書きかえるまで死なせるわけにはいかないということ。

依頼人は苦痛に耐えきれず、書きかえに応じます。

第3話 託される願い

ピノコ的キャラクター、白河郁馬(しらかわ いくま)との出会い編です。

第4話 死神と信仰

ブラックジャック同様、キリコも世界中の色々なところを訪れます。

今回は狼人間の現れる迷信深い村が舞台です。

第5話 救わざる神

戦場の前線基地が舞台。これもブラックジャック同様、キリコも暴力を振るわれることは多かったのでしょうね。

今回強要されているのは安楽死ではなく延命なのですが、患者が望んでいるのは安楽死なのです。

第6話 生ける死体

ピノコ的キャラクター2人目登場。在尾美亜(ありお みあ)、今度は女の子です。

Dr.キリコ~白い死神~ 2巻感想

第7話 死神泣かせ

依頼人はマフィアのボス。

若い頃は命知らずで死神泣かせと呼ばれていたが、老いた今になって死を恐れるようになった。安楽死を依頼する理由は、いつどう死ぬかを決められて安らかに逝けると分かっていれば怯えることもないというもの。

例によって断わることはできない!

第8話 ロボットと死

患者所有のロボットが依頼人のSF編。ロボット3原則も登場。

第1条 人間の安全生命に危害を加えてはならない。

第2条 第1条及び法律に反しない限り最大限人間の命令に従うこと

第9話 死にたがりと犬

サッカーのトッププレイヤーが依頼人。足に病を患い、もうサッカーは出来ないことを悲観してキリコに依頼する。

キリコは拒否する。

安楽死は自殺ではない!

第10話 死神ビジネス

六道善優(りくどう ぜんゆう)登場。

サラ金業者で、安楽死希望者の仲介をキリコに申し出る。

「この俺に保険金殺人の片棒を担がせようとはな…」

六道はセミレギュラーキャラクターとして最終巻まで登場します。

第11話 寒村の弔い話

妙な風習の村のエピソード。今回は国内。

ブラックジャックでも女性とのロマンス話はありましたが、キリコも意外と女性にモテる!

第12話 死神の疵

安楽死を求めた者の救命をしたために逆恨みを受ける。

救えるものなら救いたいと考えているのは、本家BJでも本人が語った通り。

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Dr.キリコ~白い死神~ 3巻感想

第13話 貧困と生と死と

考えたこともありませんでしたが、安楽死と「この問題」は将来議論されることでしょう。

第14話 相続奇譚

遺産相続の話が多いです。キモいオタクのキャラクターがステレオタイプの風貌で笑えます。

第15話 苦悶の聖者

このエピソードは特に好きです。最後にどんでん返し!元気が落ち込んでいる人に読んでほしい。

第16話 偶像と虚像

女装姿をスカウトされてトップアイドルになった少年の真の正体は?

第17話 妄執の依頼

六道再登場。キリコのルールに死後の世界は存在しないが、オカルト話も結構多い。

第18話 死神を止める者

キリコの妹ユリ登場。

彼女は末期患者の緩和ケアの医者になっていた。しかし安楽死は認められずキリコとは対立。

特別編 死神の条件

たびたび語られるキリコの安楽死3条件

「回復の見込みがない事」

「生きているのが苦痛である事」

「本人が死を望んでいること」

今回の安楽死の事件での関連で、こういうタイトルの記事を見つけました。

「積極的安楽死」の4要件とは 地裁判決で厳格に設定

判例では、医師ががん患者に塩化カリウムを注射した東海大病院事件の横浜地裁判決(1995年)が、「積極的安楽死」4要件で

▽患者の耐えがたい肉体的苦痛

▽生命の短縮を承諾する患者の明確な意思表示

▽死が避けられず死期が迫っている

▽苦痛の除去などのため方法を尽くし、他に代替手段がない

―といった厳格な要件を示した。

これを満たせば「積極的安楽死」が許されるということ?聞いたことがないのですが。

もう一つ思ったのが、裁判所がこんなことを勝手に決められるのかということです。

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Dr.キリコ~白い死神~ 4巻感想

第19話 死に様の美学

依頼人は社長兼業のプロレスラー。後継者不在のため還暦過ぎの体に鞭打って現役を続けてきたものの、すでに限界。

引退試合後リング渦を装い安楽死し、後継者の試合を弔い合戦として盛り上げたいと考えキリコに依頼する。

ラストまで充実の内容。このエピソードも名作です。

第20話 見えない悪魔

キリコの思想を認めず彼を大学から追放した教授が依頼人。ミステリー調のエピソード。

第21話 死神と殺し屋

劇中アメリカ現大統領のモデルはトランプ?

第22話 楽園と毒薬

今度は沖縄の基地建設をモデルとした舞台。

本作はスマホやノートパソコン、メールも当たり前のように登場します。子供相手に自分を昭和のオジサンと言っているので、相手は平成生まれなのでしょうね。

特に断りはありませんが、本家BJとは平行世界なのでしょうか。そうは思いたくないのですが。

昭和の作品『男坂』の続編が近年再開しましたが、設定は昭和のままと断りを入れています。

第23話 墜ちた天女

六道の債権者の女性は、新興宗教の天女として布教に大きく貢献中だった。病を患うも医者にかからせてもらえず、「入滅」=完全な解脱を装っての安楽死を強いられる。

特別編 ふたりの黒い医者

このお話は『ブラック・ジャック』の名作「ふたりの黒い医者」をDr.キリコ視点で描いたスペシャル編です!!

全5巻のうち1冊をおすすめするとすれば、本編が収められているこの4巻です。

BJ版「ふたりの黒い医者」ではキリコは当然のことながら脇役ですが、視点を変えればこのようになります。

大変面白い試みです。この特別編以外ではBJは登場しないのですが、もっと登場させてほしかったです。

本作の別のエピソードでも、本家BJでは描かれなかったキリコの描写が見られます。「弁がない」でのキリコは完全に悪役でしたが、これもBJ側の視点にすぎないと気づきました。

キリコを主人公にするとピカレスクヒーローになってしまうかと思ったのですが、実際に読んでみるとブラックジャックの間黒男とよく似ていると感じています。

二人の差は生まれ育った環境だけで、同じ人間のように思えます。まさに裏と表。

キリコはBJ本家では元軍医としか説明されていません。本作では母親が晩年病に苦しんだという説明がありますが、ここまでの生い立ちのエピソードを見たいと思いました。間黒男は過去のエピソードが相当ありました。やはり全5巻というのはいかにも短いです。

手塚治虫もキリコに共感しつつも、時代から考えてそれを表わせなかったのかもしれません。

一般人から考えれば安楽死など許せない、認めるなど論外と考えられていたはずです。現在もその考えは根強く、合法的な安楽死は当分認められることはないでしょう。

「ふたりの黒い医者」は、アニメ化もされています!

Dr.キリコ~白い死神~ 5巻感想

第24話 幸せの遺産

カゲの薄い美亜が主役の一遍です。郁馬もですが、子どもでありながらキリコの仕事を認めているというところが気に入っています。

第25話 終のあり方

伴侶に先立たれた老人が安楽死を望むことは認められるのか。

第26話 怪物の父

恩師が飼っていた熊の知能が上がって暴走?

第27話 さらば疫病神

六道との別れ。

最後になって意外と奥行きのあるキャラクターに。続編があれば友情を育むエピソードでももっと見てみたいです。

第28話 生きる価値 死の権利

安楽死を批判している者も、そのうちのほとんどは自分や身内が当事者となれば簡単に転向すると思います。

死刑制度でも身内に被害者が出たら、反対から賛成に転向するという例はありましたから。せめて沈黙に留めるべきで、賛成に転向するというのは恥ずべきことだと思います。なお私は初めから賛成です。

安楽死に関しては、消極的賛成から積極的賛成に転向しました。

と言いつつ、土壇場になったら反対に転向するかもしれません。いざとなると身内を死なせることにはためらいを生じるはずですから。そしてこれは恥ずべきこととは考えていません。

最終話 死神に捧げる愛

最終話にふさわしい内容です。

とはいえ、続きを描けないわけでもありません。本家BJも雑誌連載で完結したのちも、不定期で何作か発表されました。本作も続編を望みます。

医療漫画はかなり読みましたが、いずれもハズレはありませんでした。

ただほとんどがゴッドハンドを持つ外科医が主役で、その点少々停滞しているともいえるかもしれません。

このドクターキリコは倫理的な問題をテーマにしていて、外科医を取材すればネタを拾えるという作品ではありません。いや、医者を取材するのも面白いかもしれませんが。

いずれにしてもこれまで扱われなかったテーマではあるでしょう。これまでの医療漫画は患者が助からなかったことさえほとんどなく、まして安楽死なんて葛藤することすらタブーでしたから。

最後に、要望があれば続編もあり得ると匂わせるメッセージがありました。

今回は報道に触発されての単行本の購入でしたが、これが続編要望のメッセージとなることを祈っています。

いずれにしても本作は息長く売れるとは思うのですが。

古くて新しいテーマを扱うこの作品には、まだまだ期待したいです。

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