「ダークヒーローの美学 力石徹」
12月15日(土)23:45~24:45、NHKのBSプレミアムで放送されました。
当時参列された方から、当ブログにコメントをいただきました。ありがとうございます。
力石徹の葬式について
漫画のキャラクターの葬式というのは、当時も違和感はあったのだと思います。
『あしたのジョー』は団塊世代のバイブルで、当時は「右手に朝日ジャーナル、左手に少年マガジン」と言われていたのだそうです。
ジョーが反体制の漫画とも思えないのですが
そういえば当時のテロリストが、「われわれはあしたのジョーである」、と言ったことがあったような気がします。
力石の葬式は本当はアニメの宣伝だったという話もあるようですが、私としては熱気のある時代の賜物であったと考えていました。
今は社会現象と呼べるような漫画を聞かなくなりましたが、漫画に熱気があった時代は経験しています。力石の葬式は、熱心なファンの心からの思いから行なわれたものだと思いたいです。
私も力石の死にはショックを受けました。後年の多くの漫画の人気キャラは、しばらくしたら必ず後から生き返っていました。
あしたのジョーは、そういう世界ではありませんでした。肌で感じるリアリティといいますか、真に迫るものでした。だから熱心なファンが葬式を出したとしても、バカバカしいこととは全く思えませんでした。
あしたのジョーの思い出
全20巻、子供の頃にそろえました。
連載中も人気があったのでしょうが、終了後にさらに人気が加熱したと聞いています。そのブームの頃のことです。文庫本だったので、子どもの小遣いでも無理なく少しずつ揃えることが出来ました。
久しぶり引っぱり出してきました。
書店が付けてくれたカバーに、駄菓子屋で買ったシールを貼り付けていました。
懐かしいです。奥付の年月日が古いです。
1980年3月14日 第7刷発行 280円
あしたのジョーを知ったのは、漫画ではなくアニメの再放送でした。
今でも覚えています。ジョーが鑑別所で、パラシュート部隊のリンチをくらっているシーンでした。
あれは死ぬでしょう…。子供心に怖かったです。怖いもの見たさで、目を引いたのかもしれません。
その頃、映画化もされました。メンコなどのおもちゃも、たくさんありました。
ビニールのボクシンググローブを、クリスマスプレゼントで買ってもらいました。
サンドバッグもどきも作ってもらいました(笑)ボロボロになるまで遊びました。
友人ともボクシングごっこをよくしていたと思います。
一過性の人気ではありませんでした。
力石とやっていた頃のアニメは再放送で見たのですが、カーロスリベラからホセ・メンドーサまでを描いた『あしたのジョー2』はリアルタイムで見ていました。
『1』のパラシュート部隊の絵もインパクトがありましたが、『2』の絵もかっこよくて好きでした。
調べてみたのですが、出﨑統さんの絵ということでよいのでしょうか。
ジョーでは監督とのことでしたが、アニメータとしてもよく名前を耳にしていました。
当時、主題歌のレコードも買いました。今聴いてもいい歌だと思います。
最近の漫画の実写映画化ブームで、ジョーも映画化されました。これは家族で見に行きました、
丹下段平がそっくりで笑いました(笑)
力石役の役者は、役作りの一環でマジの減量をしたと聞きました。
ジョーは最後死んだのか?
よく話題になっています。最後のリングサイドで椅子に腰掛けている絵も、何かとネタにされているようです。
私としてはジョーが真っ白に燃え尽きたということであり、死んだとは思いませんでした。
生きているかいないかに、興味を持てなかったとも言えます。
どう思うか聞かれれば、死んではいないだろうと答えるということです。もちろん確信を持って言えることではありませんが。
力石が死んだ時に受けた衝撃を、ラストのリングサイドの絵からは受けなかったということです。だから死んだとは全く考えなかったのだと思います。
ハッピーエンドが王道なのでしょうが、主人公が負ける、死ぬラストも、たまにはいいと思っています。ほとんど見なくなったように感じます。
最近作者のちばてつやの絵を見る機会がありました。
ひなたぼっこをしているジョーを、白木葉子が見守っている絵です。一般では長年の疑問であったようですが、ジョーは死んではいなかったということでよいでしょう。
《梶原作あしたのジョーのラスト》静かに余生を送る、パンチドランカーになったジョーと、それを見守る葉子の姿。これはちばが拒否し、例のシーンとなったが、後年彼は色紙でこのシーンを描いている。葉子の顔が怖い。
うふふ。もう私のものだわ的な。 pic.twitter.com/xZUyXVSqh0— 三条友美 (@tomomisanjo) June 26, 2015
廃人という感じでも無いですが、どうなのでしょう。少なくともカーロス・リベラほどの重症ではなさそうです。特に気にかけてはいなかったのですが、まあよかったと思います。
言葉狩りについて
今はセリフの改変が激しいです。
『かたわ』とか『きちがい病院』などを、別の言葉で言い替えています。
そのことの是非は置いておくとして、他の漫画もそうですが、どうもしっくりこない言い替えが多いです。
以前図書館で読んだ版では、『かたわ』を『欠陥品』とか『出来損ない』などと言い換えていました。
そういえば手塚治虫の『どろろ』では、『かたわ』を『ノラ犬』と言い替えていました。
配慮しているつもりなのでしょうが、よけいにヒドイのではないでしょうか。先方の意向であれば、それは別にいいのですが。
読者としては納得いきません。「野朗はかたわだ!」を「野朗はボクサーとして欠陥品だ!」に。しっくりきませんね。
納得行かないのは作者も同様だと思います。改変を作者ではなく、編集者にさせているとすれば問題でしょう。
セリフは絵と同じかそれ以上、漫画においては重要な要素であると聞いたことがありますし、私もそのとおりだと思っていますので。
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その他の好きなボクシング漫画
ボクシングは漫画と非情に相性が良い題材のようです。名作と呼べる作品が多くあります。おそらく私の知らない作品もたくさんあると思います。
2つ紹介します。
がんばれ元気
作者の小山ゆうはヒット作を多数出されていますが、私が読んだことがあるのは本作だけです。
開始前はボクシングというテーマは、『あしたのジョー』で描きつくされたと言われていたそうです。
そのような中で新たなキャラクター像を作り出すことによって、名作となり得たという解説を聞いたことがあります。本当にそのような感じがします。
キャラクターの設定は、今思えばとても練られているように感じます。
本人は優等生タイプでジョーとは正反対ですが、ボクサーだった父をリング禍で失っています。
母方の実家に引き取られてハングリーとはかけ離れた身分となりますが、父を凌ぐボクシングの才能があったという青年が主人公です。
脇役もみな魅力的です。
少年サンデーに連載されていましたが、本作もジョー同様、大人の鑑賞に耐える作品です。
そういえば短距離走をテーマにした「スプリンター」という漫画も読んだことがありました。
あまりよくは覚えてはいませんが、ランナーズハイの描写が読んでいて気持ちよかったです。
リングにかけろ
『聖闘士星矢』の車田正美の出世作です。5人チームで敵を倒していくというあたり、星矢の原型とも言えるでしょう。
作者についたファン「マサミスト」の中には、星矢よりこちらの方が好きだという人もいます。私は星矢も好きですが、そういう意見も分かるような気がします。
美少年ばかりの星矢と違って、『リンかけ』はキャラクターが多彩なところが魅力です。
…書き始めると長くなるので、ボクシング漫画で別記事を作ったほうがいいですね。
続きはまたの機会に。
私の中での3大ボクシング漫画は、『ジョー』『元気』『リンかけ』です。
ぜひ読んでみて下さい!
コメント
コメント一覧 (2件)
BSプレミアムで、迷彩服で出演していた者です。(笑)
当時5歳の僕が 「幼稚園児ながら単独で大阪から新幹線の乗って東京で行われた葬儀に参列」 という快挙を成しえた(幼稚園脱走…笑)ことが番組で取り上げられたことをうれしく思っています。。。
→ http://anthony3b.blog108.fc2.com/blog-entry-253.html
「昭和45年3月24日 「力石徹の葬儀」に参列した僕は、5歳だった!」(Anthony’s CAFE 2007/07/18 )
にて、11年前のブログ記事が残っています。
コメントありがとうございます。
まさか当事者の方からいただけるとは思っていませんでした(笑)
5歳の子供が1人で大阪から出てくるとは、本当にびっくりしました。
力石の葬式は、一部のファンで細々と行なわれたというイメージを持っていました。
しかし、あれだけの行列が出来るほど盛大だったとは思いませんでした。
それも平日に。
他の漫画の対決は、相手が大物の敵役の場合、死ぬことの予想が事前についたりします。
力石の場合は、まさか死ぬとは思いませんでした。
このことも衝撃を大きくした一因でしょう。
当時の新聞にあれだけ大きく扱われたことも知りませんでした。
漫画のキャラクターの葬式というのは、熱気ある時代の賜物という面もあるのでしょうが、
やはり作品にそれだけの力があったのだと思います。
力石の壮絶な生き様、そして死に様。
真に迫る描写でした。