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館シリーズランキングを独断で作成!ネタバレはなるべくなしで

綾辻行人の人気シリーズですが、既刊9作を先日読了しました。

読んだ順番は発表順ではなかったのですが、いずれも1話完結なのでどこからでも読むことができます。

館シリーズとは、天才建築家・中村青司が日本各地に立てた館で殺人事件が起こるという内容になっています。

そして推理作家・鹿谷門実が探偵役となっています。

また一貫しているのが、トリックが「小説ならでの仕掛け」になっています。

「映像ではトリックが成立しない」

と言い替えることもできます。

見どころは探偵役の推理というより、むしろトリックそのものなのでしょう。

これは「叙述トリック」と呼ばれます。

 

例えば密室を作るために、糸だの針だのを使ってトビラの鍵に細工するというようなことはないわけです。

どの作品だったかで作中の登場人物に「物理トリックはきらいだ」というようなことを言わせています。それは著者の気持ちを代弁したものだと思っています。

 

叙述トリックとは、読者の先入観や思い込みを利用し、一部の描写をわざと伏せたり曖昧にぼかしたりすることで、作者が読者に対してミスリードを仕掛けるトリックである。

未読の方は、ぜひ一度読んでみて下さい。

その際はこのランキングを参考に、と言いたいところですが、実のところ全作読んだ人の意見を聞いてみたいというところも大きいです。

未読の人におすすめの作品についても触れていきます。

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9位 びっくり館の殺人

ほとんど番外編ともいえる内容とボリュームです。

それもそのはず、本作は児童向けの企画の中で発表されたものです。

というわけで、決してつまらないというわけではありません。また、大人が読んでも十分楽しめます。

とはいえ、シリーズ未読の方にお手軽だからとおすすめできるかとなると、迷うところはあります。

館シリーズの醍醐味に乏しいところはあるので、これを読んで自分には合わないと離れられては悲しいわけで。

「館の中のびっくり箱には、開けるとショック死するような強烈なものもあるらしい。」

ちょっとした描写のつもりだったのかもしれませんが、ここが大好きなんです。綾辻行人のセンスはむしろこういうところに感じます。

共感していただける方がいらっしゃれば、『どんどん橋、落ちた』もどうぞ。

綾辻行人おすすめの小説は『どんどん橋、落ちた』その理由をまとめました

びっくり館の殺人 (講談社文庫) [ 綾辻 行人 ]

8位 人形館の殺人

トリックに賛否両論の声がありました。

私としては悪くないとは思うのですが、読んだのが近年のことだったので、発表時には感じられたであろう新鮮さが感じられなかったようです。

つまり見たことがあるトリックだった、ということです。

『イブ・バーストエラー』というゲームでした。1995年のゲームです。

『人形館』の発表が1989年。当時は新しいネタだったはずですが、それでも批判があったんですね。

仮に映像化したとしたら、ラストの流れはかなり異様な画になっています。私は面白いと思うのですが、なんでこれだけ怒られるのかなあ?まあ、まったく分からないでもないのですけど…

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なお綾辻行人未収録作品集『人間じゃない』には、後日譚である『赤いマント』が収録されています。

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7位 時計館の殺人

一般人気では上位に来る本作なのですが、私には…まあ一口で云えば「合わなかった」ということになるのでしょうか。

シリーズを読んでいて探偵役である「鹿谷門実」について、ひとつ引っかかることがあったのですが、本作ではっきりしました。

彼は殺人犯に対して、怒りというものを全く感じていなかったのです。

考えてみれば、シリーズの被害者は多分全員といってよいくらい何の罪もない者たちばかりです(言い切っていいのかはともかく…)。

被害者がたとえ赤の他人であっても、普通の人なら犯人を一発殴ってやりたいとか、死刑にすべきだと思うはずなのです。

自分が探偵役なら、犯行を暴いた後は会話すらしたくないと思います。

 

あと時計館を建てた動機とかも普通考えないものでした。それは作中の人物にも言わせていたのですが…まあ普通じゃない状況というのは、シリーズすべて同じなんですけど…

一般人なら『人形館』へ向かう批判が、私の場合『時計館』へ向かったということなのかもしれません。

そうそう、本作はシリーズで唯一映像化できそうな作品ではないでしょうか。

私の思い違いとか見落としがない限り。ラストシーンも見栄えがするものですし。

被害者の一人が「秘密」を知った瞬間はさぞ驚いたことでしょう。ここだけは小説そのままに映像化はできませんが、そこだけならどうにでもなります。

1992年度 第45回日本推理作家協会賞長編部門を受賞しています。

一般のランキングなら上位3位には入る作品です。『びっくり館』や『人形館』と違い、おすすめしても問題はないでしょう。

時計館の殺人<新装改訂版> 上下合本版【電子書籍】[ 綾辻行人 ]

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6位 奇面館の殺人

館シリーズはトリック先行ではあるのでしょう。

「人間が描けていない」「人物が記号に過ぎない」などという評価があるそうです。

「直木賞を取れないのは、面白いけど人間が絶対やらないことをやっているから」という批評を読んだこともあります。

ならば人間を記号にしてしまおうということで、容疑者が全員仮面をかぶっているという設定から構想が始まったのだそうです(笑)

うーん、転んでもただでは起きないんですねえ。

感想としては、手慣れたものというか、ちょっとあっさりした印象です。

犯人の謎の行動も、それを知って衝撃を受けるというものではなく、すんなり納得するというような感じで。

メイントリックはよかったと思うのですが、それならもっと自然な〇〇にすべきだったという気もします。

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5位 水車館の殺人

ランクはこの位置ではありますが、おすすめ度では1,2を争う内容です。

クセやケレン味がないといえるのかもしれませんが、まさに本格といった感じです。

章ごとに現在と1年前が交互に描かれるという構成も読みやすいです。

読み慣れた人だと、犯人やトリックが分かってしまうものなのでしょうか?

作者によると「作中の情報だけで全てを見抜くのは簡単ではない」とのことです。全てでなければ察しがつくということなのかな?

舞台は岡山で、横溝正史の雰囲気があります。

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4位 迷路館の殺人

これも一般人気では上位3位に入ります。私もかなり好きです。

家が迷路になっているのですが、誰がこんなところに住むんだ(笑)

現実にはありえない設定の多い館シリーズですが、意外と館自体はまともなものが多いことに気づきました。

もはやここはイベント用のパビリオンというべきでしょう。まさに「イベント」の舞台となるのですが、そこで連続殺人が発生します。

構成も凝っていて、「現実」「現実をモデルにした小説」で事件が描かれています。

小説内で終わっていた方がよかったという声もあるようですが、私としてはこれもまた『時計館』とはまた別の胸糞悪さを感じて終わっていたことでしょう。

現実のどんでん返しは衝撃度では弱いのかもしれませんが、作品の完成度は上がったと思います。

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3位 十角館の殺人

シリーズ未読の方へのおすすめ度ナンバーワンです。近所のローソンでも売っていました。

読みやすさ、そして衝撃度もシリーズ随一です。

自分の中でも本当はもっとランク上位なのかもしれません。しかしデビュー作をあまり評価するのも、一発屋との誤解を与えるかもしれないと思いこの位置に。しかし一般のランキングではたいてい1位になっているはずです。

特に衝撃度は群を抜いています。最初に読んだのが本作だったからなのかもしれませんが、客観的にもそうだと思うんだけどなあ。

シリーズ未読の方は、試しに別の作品を先に読んでから本作を読んでみていただけますか(笑)

おそらく『十角館』が、多くの方のシリーズの入り口になっていると思われますので。

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映像化不可能のはずだったのですが、なんと漫画化されています!

一体どうやったんだ?

少なくとも何らかのアイデアが加わっていると思われますが…

 

2位 黒猫館の殺人

一般評価はもっと低いです。下位といってもよいかもしれません。

しかし独断ランキングの名に違わぬよう、個人的好みを優先させてこの位置に。

トリックはシリーズ最大規模と謳われていますが、看板に偽りなしです!

本作はシリーズにかなり慣れていた頃だったのですが、どこでダマシにかかっているのだろうと探りながら読んでいました(笑)

ちょっとヘンなところも感じたのですが、しかし結局ダマされました。

構成は現実と過去の手記が交互になっていて、これも楽しいです。

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1位 暗黒館の殺人

発表は第7作となっていますが、読んだのは最後です。

というのも、ボリュームが尋常ではないからです。『十角館』の4倍はあるかなあ。

途中で飽きたら嫌なので、読むのを後回しにしていました。

しかしそんなことはなく読み切ってしまいました。ダラダラした印象もなく、読後感は過去作と同様でした。今それらと同じボリュームの作品を読んだら、アッサリ感じてしまうのでしょうか。

著者も話していますが、苦心の跡が見られます。構成も訳が分からず、何を書きたいのかと思いました。

他作では軸となるアイデアがあり、それをどう構成するかという作りになっています。

しかし『暗黒館』はアイデアを複数盛り込んでいます。ちょっとやりすぎと感じるところもありましたが。

トリックだけでなくホラー的な雰囲気も楽しむ異色作といえるでしょう。

最終回といってもよい内容でした。

この後が『びっくり館』『奇面館』では、いっそここで終わってよかったと思わないでもありません。

2021年に完結編のタイトルが発表されるそうです。今から取りかかるのか、それともすでにある程度執筆は進んでいるのか。

綾辻行人『館シリーズ』10作目最終巻はいつ?期待と不安を書いてみる

それは分かりませんが、ボリューム的に『暗黒館』に並ぶものはもう無理でしょう。

私としては『暗黒館』の続編的なものでもよいのではないかと思います。

これだけのボリュームでまだ続けるのかという向きもあるでしょうが、「あれ」からどうなったのか気になる人も多いことでしょう。

それとも、それを知ろうとするのは野暮なのでしょうか?

あるいは、未出の『館』総登場、というのもよいかもしれません。まだ中村青司の館は残っているという状態で終えるのもスッキリしませんし。

その年発表のミステリーに賞を授与するという企画が長く続いていて、暗黒館の年にはノミネートされました。

その選評の中で、「過去作の知識が前提となっているから評価できない」というものが多くありました。

しかし知識がなければ唐突に感じるかもしれないが、作品の意味が分からない、成立しないということは決してないと思いました。

一体どういうことなのか理解できませんでした。

シリーズはどこから読んでもよいのです。

しかしそれでも『暗黒館』を最初に読むのは避けたほうがよいのかもしれません。

それは過去作の設定に触れるあたりが唐突に感じるということもあるのですが、これも先に述べたように、内容が最終回的であるからです。

後の発表作『びっくり館』『奇面館』より後に読んでもよいくらいです。

『暗黒館』の構想時にはすでに『奇面館』のアイデアもあったそうなのですが、なぜ『暗黒館』を優先させたのかが謎です。当時が作家として脂がのっていた時期と判断されたのかもしれません。

完結編がとても楽しみです。

そうそう、どうでもよいことですが、一休さんの『安国寺』『暗黒寺』と勘違いしている人が昔いました(笑)

 

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